定年再雇用で働き始めると漠然と理解していたことが色々と分ってくる。
リアルな現実にさらされて、色んな感情が沸いてくる。
仕事の環境だったり同僚との付き合い方、収入だったり年金の理不尽さだったり。
色々と事前に調べたり想像していたつもりでも、実際の立場にならないと気づかなかったり、感じないことがたくさん出てくる。
今回は、そんな中で、早期退職と定年退職の損得を比べてみた。
早期退職制度とは?
ここで話題にする早期退職は規程に定められている「定年選択制」のことで、通常、自己都合退職になる。
会社によっては、定年退職扱いとするところもあるようだ。
但し、会社都合(経営状態の悪化、規模縮小など)で退職者を募る希望退職とは扱いが異なるので注意。
定年退職年齢を待たずに早く退職することで、割増の退職金が受給できる。
早くってどれ位って話だけれど、定年年齢5年前からだったり10年前からだったり色々で、この当たりの取り決めは会社によって随分と違っている。
わざわざ退職金を割り増ししてくれるのは、会社にもメリットがあるからに他ならない。
会社としては、労働力としてコストパフォーマンスを期待できなくなった高齢者は、早く退職して欲しいと言うのが本音だろう。
また、早期退職のよりもあからさまなコスト削減策として、役職定年を導入している会社もある。
どちらも高齢な会社員に対するスタンダードな処遇で、日本のサラリーマン社会では当たり前と受け取られている。
会社的には、高齢者がいることで若い人にポストが用意できなかったり、組織の硬直化だったり、まぁ、とかく年寄りは厄介な存在になる場合が多い。
早期退職制度は、極めて日本的な慣習だと思われる。
アメリカなんかにはそもそも定年自体が無いし、若いうちにがっぽり稼いでフロリダでアーリーリタイアメントが憧れの的だ。
そう言う意味じゃ、日本はまだまだ会社員には優しいと考えた方が良いようだ。
早期退職のメリット
退職金の割り増し受給
一番のメリットは、言うまでもなく退職金の割り増しである。
割り増しの金額は、会社によって千差万別なのでコメントできないが、とにかく早く予定以上の一時金がもらえるので、その活用によって現在の生活改善ができる。
住宅ローン返済、事業資金、教育資金の捻出・・・人によってさまざまだと思うが、割増しされた退職金を得ることのできるメリットは大きい。
早期にライフシフト・ワークシフトできる
既に人生100年と言われている時代である。
退職金と年金で老後は悠々自適などと言うことはあり得ない。
誰もが定年年齢の延長を望んでいる時に早期退職するメリットは、いち早いライフシフト・ワークシフトの実施である。
第二の人生と称して、60歳で定年退職して「再雇用・再就職・独立開業」の内からどれを選ぶか、と言うのが一般的なライフプランである。
しかし、早期退職を実施すれば、若いうちに新しい第二の人生にチャレンジできる。
あなたが思い描く方向に人生をシフトして行くことができる。
早期退職のデメリット

実は、早期退職のデメリットがあまり思い浮かばない。
もしあるとすれば、早期退職する年齢以降に想定以上の会社人生でのメリットがある場合なのだが、そんなことあるのだろうか・・・
普通に勤めていても、60歳で定年退職である。
更に再雇用であっても、65歳では退職である。
定年を先送りしたところで、いつかは会社を去る時が来る。
現状を先送りして現在の会社で仕事を続けていても、パフォーマンスの低下した老兵としての評価しか貰えない。
これから先は、その程度の仕事にしかつけないのである。
早期退職を選択しようとする人にデメリットなど無いと断言する。
定年退職再雇用・年金生活は憂鬱

冒頭にも書いたが、定年再雇用で働き始めると漠然と理解していたことが色々と分ってくる。
仕事の環境だったり同僚との付き合い方、収入だったり年金の理不尽さだったり、そんなことがひどく憂鬱に感じられてくるのである。
以下のことは、実際に体験してみないとなかなか想像できないと思う。
今現在バリバリ働いている人ほど、そのギャップは大きくなる。
自分にそんなことは起きないと過信する。
だからこそ、あなたは判断を誤る。
- 再雇用になると収入が激減する。
- 地方税は1年遅れ、暫くは手取り金額の減少を強烈に実感する。
- 正社員ではなく非正規社員となり社内での立場に戸惑う。
- 年金受給が始まると所得制限により年金受給額の調整が行われる。
- 老後資金をチマチマ取り崩して生きるライフプランに幻滅する。
- 歳を取っていくことに恐怖感が増大する
- 精神的な加齢が肉体的な加齢を加速する。
まとめ

早期退職の損得を考えれば、得しかない。
今の時代、そしてこれからの時代では「定年退職後=年金生活」ではないのである。
そもそも退職と言う考え方が、既に時代にそぐわないと生き方になってしまっているのだ。
退職には「これまで続けてきた仕事を止める=食べる為に働くことを止める」と言う意味合いが強くて、なんとなく終末を迎える感覚になってしまう。
ところが、生きている間はずーっとご飯は食べ続けるのである。
もちろん高齢になれば食べる量も減るから、そんなに頑張って働かなくて良い。
適量食べるために適当に働けば良いのである。
最近の年金の記事や老後資金の記事を見ると、現役世代のレベルのまま老後もずーっと生活することが当たり前のように論じられている。
そりゃ、無理って言うもんだ。
でも、分っていてもマインドチェンジできないのである。
最近では、老後という言い方にさえ違和感を覚えるようになっている。
「老いた後」って、いったいどういうこと?って思ってしまう。
少々回りくどくなってしまった。
長生きするなら、当たり前に働こう。
できるだけ早期に退職して仕事の仕方をチェンジしよう。
早期退職に損、デメリットなど何もないのである。